トゥームレイダー 《パートⅧ》ドラゴンズドグマについて・・・
このゲームはキリスト教義(隠喩)が使われています。
・ ドラゴン = 神
・ 覚者 = キリスト
・ ポーン = 聖霊
漁師だった主人公は、カサディスの村に現れたドラゴンによって、
為す術なく心臓を取り出され、1度、死に至ります。
しかしその後、ドラゴンの声に導かれるように"覚者"として復活します。
聖書にはアダムとイブが神の禁忌に逆らった"原罪"を、
キリストが死をもって贖い、3日後に復活するという教義があります。
『ドラゴンズドグマ』の主人公が復活するのは、キリストの復活に準えてる訳です。
しかし、カサディスの村が襲われるオープニングにて、
たった1人だけ、神の行いに抗った人が居ました。それが主人公です。
この方あろう事か、慄いた領都兵の落とした剣を手に取り、
それを神の右手に突き立てるという、超絶暴挙を冒してしまいます。
ですが神は寛大でした。罪を憎んで人を憎まず。
主人公から心臓だけを抜き出し、神に抗う事について考える猶予を下さいました。
主人公は辛苦の果てにこのドラゴンを遂に討ち果たし、心臓を取り戻します。
そして再び自分の胸に収まった心臓は、ドラゴンの血を帯びています。
この時、主人公はドラゴンと同じ、不老不死の心臓を手に入れた事になり、
神であるドラゴンと同格の存在になったと言えます。
復活して悟りを開いたキリストが神であり人であるのと同様に、
主人公もまた、神であり人である存在になりました。
神の言葉に近づけなかった他の覚者とは異なり、真の覚者となったのです。
キリスト教にはもう1つ、神と同格の存在があります。それが聖霊(holy spirit)です。
神の言葉に近づく為には、まず御心を神に近づけなければならないとされています。
そうでないと言葉の意味が理解出来ないからです。
ポーンと言えば、カサディス村がドラゴンに襲われ、
主人公が覚者として復活した後、どこからともなくふらりと現れ、
主人公をポーンとの契約に導いた最初のサポートポーン・ルークが居ましたね。
ルークは主人公をドラゴン討伐の領都徴募隊が駐屯する宿営地に連れて行きます。
そこで主人公は異界との繋ぎ口であるリムが発する声に従い、
ポーンの民との契約を結んで、メインポーンとなる従者を呼び出します。
この時、ストーリーを読み解くヒントとなるのが、最初の頃は主人公を含め、
神であるドラゴンが話す言葉=竜語が誰にも理解出来ていない点です。
字幕も付いていないので、プレイヤーにも何と言っているのか分かりません。
ですが、主人公が覚者となって以降は、竜語に字幕が入ります。
そこからリムが発する声も聞こえるようになったのです。
普通に暮らす人々は、ポーンの民を"異界渡り"と呼び、
感情を持たない人ならざる人として近寄らず気味悪がってますが、
それもやはり、ドラゴンの言葉が理解出来ないのと同様に、
霊的な存在を信じる事の出来ない、不信不徳の心から出るものだと考えられます。
「霊的」というのは"お化け"とかそういう意味でなく、"聖霊の御心"を指します。
キリスト教では、自分の魂を正しく取り扱う事の出来る人だけが
それを自覚し、神の言葉に近づけるとされています。
主人公はポーンに導かれて御心を理解し、ドラゴンの言葉に近づくのです。
神・キリスト・聖霊。これらが一つになる事が、真の覚者としての目覚めです。
これを、キリスト教義では「三位一体」と呼びます。
「父(神)と子(キリスト)と聖霊の御名において」という祈りの言葉の通り、
三者は共に等しく、同じものとして信じられています。
・・・つづく