夢の賢者ユング2「夢の遺産」■夢の第三の源泉ーはじめのうち、ユングはフロイトのアプローチに賛成だったが、すぐにその限界を見抜き、次第に、フロイトの夢理論に対しても、また精神分析全般に対しても、疑問を抱くようになった。フロイトによれば、夢はその顕在内容を、二つの源泉に由来する記憶の残滓から作り上げる。二つの源泉とは、前日の出来事と、幼児期の記憶である。ユングもそれを認めたが、彼は一歩踏み出し、夢は第三の、もっと深い源泉に由来すると考えた。その源泉は人類の進化の歴史に属する。ユングはそれを集合的無意識と呼んだ。⇨アンソニー・スティーヴンズ「ユング」講談社選書メチエ42 より