会場: 某障害者福祉施設
売値: 非売品
Experimental Comfort B-grade Farce
"Kansai Dialect Bonnie & Clyde", 2011, Private Collection
Venue: A welfare facility for the disabled
Price: Not for sale
【評】障がいある者が舞台上に立ちわれわれが鑑賞する演劇はある程度更新されているが、逆に娯楽として障がい者に見られる演劇はかなり限定的で、福祉の検問を通り毒っ気のない気の抜けたサイダーのような低刺激な作品ばかりとなっている。 そんな現状を憂い是非とも一度障がい者が普段お目にかからないであろうアングラ演劇を披露したいと目論んだ。なのでこの「関西弁のボニー&クライド」は 作品が、というより状況自体が事件な、天才バカ的意欲作だ。誰もやらない。やらせてもらえない。やりたいとも思わない。だから唯一無二とも言える。
結果は明白だった。何を見せられているのか顔面蒼白する職員らの困惑の表情。利用者に危害を加えるわけではないので制止することもできない。奇声が飛び交いどちらが演じ手なのかわからないようなカオスぶり。意図的に距離をとらえていたが、利用者はグイグイ食いついてくる。届く者には届いたようである。終演後楽屋に来た若者に「感動しました!」と熱く握手された。
われわれは一時の夢ではあったかもしれぬが、見事彼らを道徳的呪縛から解放したのである!